今月14日午後、名古屋市の電車駅で、30代とみられる男性が進入する列車の下から飛び降りる事件が発生しました。 男性は即死しました。 事故や遅延事項は、すぐに列車運行情報などで利用客に共有されました。 列車に乗った乗客の中で負傷者はいないことが確認されました。 事故列車は、収拾のために1時間40分ほど停車した後、何事もなかったかのように運行を再開しました。
日本の地下鉄で頻繁に起きる事故現場の様子です。 日本で「人身事故」とは、車両によって死傷者が出た事故のことです。 特に、列車人身事故とは、自分の意思であれ他人であれ、列車運行に関して人が怪我をした場合のことで、約60~70%は死亡につながり、死亡事件の大半は自殺です。
今回の鳴海駅事件で特異な点は、故人が韓国人だということです。遺族を名乗る相談文によると、自動車メーカーに勤務していた故人は、スパイ扱いや尾行をされ、いじめに悩まされていたという。 事件当日には解雇通知まで受けると、結局遺書を残して極端な選択をしてしまったという。 鉄道人身事故が日本ではよくあることだからか、事件はまったく注目されないまま、静かに葬られてしまいました。 ただ、いつどこで発生し、どのくらいの列車が遅れたかという破片化した情報だけが、ネット上を流れているだけです。
鉄道大国で日常化した人身事故…。韓国の10倍
この6年間、日本の鉄道人身事故件数は利用客数の差を考慮しても、毎年韓国より4倍-10倍ほど多かった。
日本は自他共に認める「鉄道大国」です。 1872年に鉄道が開通して以来、現在では国鉄やJR、民間鉄道などを合わせた日本の鉄道全体の旅客輸送分担率は70パーセントを超え、世界一高いです。 1964年に世界初の高速鉄道である新幹線を開通し、各種イベント列車を含む多様な形態の列車が運行されています。 歴史が古いので、鉄道網が毛細血管のように全国各地まで張り巡らされており、列車で行けない所はほとんどないといっても過言ではありません。
しかし、その一方で毎年、人身事故による死傷者数が1000人近くに達したりします。 日本の「鉄道人身事故データベース」によると、過去1年間に日本全国で発生した鉄道人身事故は872件(2021年11月までに算定、死亡499件)に上りました。 同じ時点で韓国はわずか28件でした。 列車の利用客数が3倍ほど多いとしても、日本の方が事故発生頻度がずっと多いということがわかります。 東洋経済新聞は、「コロナブルー」(コロナ長期化によるうつ病)でも、日本の自殺率は減少しましたが、列車投信はそうではなく、対策が急がれると指摘していました。
このような状況のため、人身事故が頻繁な駅に関する情報がインターネットを通じて日常的に共有されます。 今月14日に韓国人男性が死亡した鳴海駅も、昨年1年間に同地でだけ発生した人身事故が14件に上りました。 人身事故で出社時間に間に合わない会社員が遅刻事由を証明する「遅延証明書」をもらう光景も、見慣れた光景です。
ご存知の通り、日本で飛び降りて被害が生じた場合、鉄道会社は状況に応じて、1千万円から遺族に損害賠償を請求することもあります。 通常、列車遅延、清掃や復旧、列車運行社員への見舞金などが算定されます。 全世界で人に迷惑をかけることを憚る文化で有名な日本で、皮肉にも鉄道人身事故で不本意な迷惑が多いわけです。
日本で列車への飛び降りが頻発する原因は、やはりホームドアの設置の不備です。 ソウルメトロとコレイルによると、ホームドアの有無によって、自殺を含む墜落事故発生の危険性は90%も減少するといわれています。 韓国の場合、全国のスクリーンドア設置率が一昨年基準で、首都圏は100%、全国的には97.7%に達しました。 反面、日本は鉄道事業者によって差はありますが、まだまだ平均して30パーセントしかありません。
事故が絶えないと、日本政府もいち早くホームドア設置の意志を示していました。 日本の国土交通省は、昨年開かれた東京五輪に先立ち、東京全域に、また2027年までに日本全域にスクリーンドアを100%完備するという計画を明らかにしています。 しかし、バラバラの列車規格や多くの歴史改修による費用問題などで進行が遅れているようです。 幸いなのは、ホームドア設置効果のおかげか、2010年以降、毎年わずかながら人身事故の件数が減少傾向にあるということです。
日本で過労死をしのぐ「いじめ自殺」
日本の労働紛争相談件全体でいじめが占める割合は9年連続で最も高かった。
日本の厚生労働省は、2020年6月から大企業向けに職場内いじめ防止のため「パワハラ(権力関係によるいじめ)防止法」を実施しています。 職場内のいじめ防止措置を企業に法的に義務化したのです。 今年4月からは中小企業まで対象を広げて施行する予定です。 しかしまだこれといった効果を上げることはできませんでした。 職場内のいじめによる相談や事件が、相変わらず増えているからです。
厚生省の資料によると、11年4万5939件だった職場内のパワハラやいじめ相談件は、20年には9万7553件と、9年間で2倍以上に増えています。 このため、精神疾患の労働災害件数は、09年の16件から20年は170件と、11年間で11倍近く急増しました」 日本の労働専門家たちは、労災と認定されなかったり、労災の申請さえできなかったりすると、実際の発生件数はこれよりずっと多いと判断しています。
日本の労働問題の象徴ともいえる「過労死」の主な原因としても、パワハラやいじめが挙げられています。 過労死といえば、単に過労な勤務時間や労働強度が原因かと思われますが、必ずしもそうではないようです。 労働時間が過労死の主原因と判断された場合は、2020年で約180件だったのに対し、パワハラといじめが主原因と判断された場合は約210件ともっと多かったからです。 これに対し、過労死とも区別される「いじめ自殺」という言葉を別に使うべきだという主張も出てきています。
今年9月に発足した岸田内閣は政策モットーとして「新しい資本主義」を掲げました。 骨子は、既存のアベノミクス路線から脱皮し、人を大切にする投資にもっと努力することで、成長と分配の好循環を図るということです。 しかし、職場内でのいじめなど、労働環境問題についての議論は行われておらず、細かさや具体性が足りないという指摘が出ているのが現状です。
一方、韓国も2019年から「職場内いじめ禁止法」を施行中です。 しかしサラリーマンが肌で感じる体感は、大きく変わっていないことが分かりました。 市民団体「仕事探し119」がサラリーマン1千名を対象に行ったアンケートによると、平成33年の「嫌がらせの経験がある」という回答の割合は、前年に比べて減ったものの「嫌がらせの程度が深刻」という割合はそのままでした。 こうして見ると韓国も関連法及び現況で、日本と類似の状況に置かれていると見ることができます。 もちろん、韓日両国は職場文化、労働環境などまったく同じではありません。 しかし、韓国も職場内のいじめ問題から自由ではないという点で、日本の状況を他人事として片付けてばかりはいられないように思います。
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